NHK夕方のニュース「シブ5時」で最新のセキュリティ技術に関する特集が放送された。従来の防犯カメラは犯行を記録するものだが、今のトレンドは最先端の技術を使い犯行前に警告や不審者を発見できる“予防”を目的としたシステム。背景には、東京五輪に向け一層厳しい状況にある警備員不足があるとのこと。
特集で紹介されたのは、顔を認識し事前登録した重要人物を特定する顔識別システム。続いてその場に適さない異常行動をカメラで捉え不審者を発見するという行動識別システムだ。そして3つ目にトリとして紹介されたのが“人の感情を読み取り不審者を識別するシステム”でこれこそエルシス北海道が販売するディフェンダーX。ちなみにディフェンダーXがNHKで紹介されるのは今回で3回目となる。実際にシステムをスタジオに持ち込みでデモも行われた。カメラ越しにはアナウンサーの松尾剛さんを映り、モニターには感情を可視化した輪郭が青色っぽい映像も確認できる。説明にはエルシスジャパンの守屋氏が登場。
ディフェンダーXの特徴を不審者として判定するのは、感情のうち緊張・ストレス・攻撃性の3つデータだという
そしてこの感情を読み取る技術は、人の目に見えないレベルの微弱の揺れ(振動)を測定し導き出されている。下の緑色のメーターでその結果が確認でき、表示される数値が60を超えると不審者となり、メーターも赤色に。
アナウンサーの寺門亜依子さんから、「ただ緊張は悪いことを考えている時だけでなく、例えば好きな人の前でもあるのでは…」と質問。守屋氏は「確かに緊張したりドキドキしたりはするかもしれないが通常の恋愛には攻撃性という感情は無いのではないか。攻撃性が加わることでストーカーになったりという可能性があると説明。
安達宜正解説委員からは、「万引にも役立ちますか」との質問が。
守屋氏は役立ちます。万引犯や盗撮犯が犯行に及ぶ前に検知しているケースもあると説明。
ここで実際にとある書店で万引犯が検知した映像が流れる。一見、通常の買い物客に見える検知された男は、ガードマンが追跡したところ大量の本をもって人目のつかないところに移動し窃盗を行っていたとのこと。常習者で逮捕されたという。
松尾アナから、映像を見ると顔がアップでなかったり、鮮明ではないように見えるが大丈夫なのかとの疑問も。守屋氏は顔だけでなく体の震えも解析して不審者として検知するか否かを判定していると説明。
また、ディフェンダーXには、録画映像を解析し不審者を特定する機能があり、この事例として2013年のボストンマラソン爆破テロの映像紹介。監視カメラの映像を解析したところテロを実行する前にカメラに映った実行犯の2人を検知していることがわかった。
寺門アナから、録画を解析する機能はどのように活用されるのかとの質問。守屋氏は。例えば大勢の中から共犯の可能性のある人を絞り込むといったこともあると、一例を示した。
安達解説委員からは、冤罪のは恐れはないのかと運用上の疑問点を指摘。守屋氏は冤罪の可能性は低い。運用では検知段階でガードマン等に知らせ不審者をマークするなどして犯行に及んだ時に確保という形になる。人が介在するのでほぼ冤罪の可能性はほぼ無いといえる。
松尾アナは、こうした技術がどんどん進んでいくのは避けられないが、知らず知らずのうちに監視されたりする可能性もあり、使い方によっては怖い側面もある。利用する側も振り回されないように対策を考えてる必要があるのではないかと指摘していた。
(※上記の記事はエルシス北海道による放送内容を要約した文章となります)
【特集の中でディフェンダーXに関する方法部分の詳細は以下の通り】
寺門アナ:これまで顔の識別するシステム、それから人の行動から不審者を発見するシステムだったんですが、さらになんと人間の感情の状態を読み取って不審者の発見につなげるシステムもあるんです。
安達解説委員:緊張して、間違われたりすることはないのかな。
寺門アナ:そのあたりも詳しく聞きたいと思います。このシステムを販売している守屋さんをお招きしています。守屋さんよろしくお願いいたします。
今日は、そのカメラシステムをスタジオにお借りしました。松尾さんと私の前のあたりにおいてあるものなんですが、これもともとはロシア政府の研究機関が開発したものなんです。
このカメラで今、松尾さんを映して、まさにその感情を読み取っています。
これを守屋さんご覧いただいて、どうですか。松尾さんはやっぱり不審者ですか?
守屋氏:大丈夫です。今、ご覧いただいているのは松尾さんの映像なんですけれども注目していただきたいのは下に映し出されている数値ですね
寺門アナ:真ん中にちょっと小さいですけど数値が映っていますね。
守屋氏:この数値をみます。
寺門アナ:これがどうなると?
守屋氏:この数値が60を超えると、不審人物として判断します。
寺門アナ:何を見て数値を出しているんですか。
守屋氏:この映像からですね。攻撃性、ストレス、緊張、その他50の項目から判断しまして総合的に判断しましてこちらに数値としてだしています。
松尾アナ:寺門さん、マズイです。私、まるっきり緊張してないのバレてます。
寺門アナ:もうちょっと緊張感をもっていただいても、本番生放送なんで。ただ、この映像から先ほどおっしゃった攻撃性とか、ストレスが分かるんですか。
守屋氏:こちらですね。鍵を握るのは無意識に起こる体とか顔の揺れですね。それを見ています。
寺門アナ:今、松尾さんを見る限り、意図的に揺れてますけど。
松尾アナ:これ人工的な揺れはダメなんですかね。
寺門アナ:これは特に数値60になってないですよね。肉眼で見える揺れとは違うんですか。
守屋氏:違いますね。目には見えないような微弱な揺れですね、それを検知できるようになっています。揺れを感じますとこちら点で表示(モニターに)されるんですが、松尾さんの後ろとかは揺れてないのに何かでてますよね。これは画像として揺れを映し出しているということなんですね。
寺門アナ:なんで揺れが不審な行動とか不審な人物につながるんですか。
守屋氏:この揺れですね。例えば犯罪行為に及ぼうとしますと緊張から興奮状態になりまして無意識のうちに顔とかが揺れてしまう。その独特の揺れがでてしまいます。ロシアではこの微弱な震えがどういう精神状態から来ているのかを研究しまして膨大な実験データをもとにそれと照らし合わせて解析して不審者として判断しています。
安達解説委員:ロシアはテロが多いからね
寺門アナ:ただ緊張とかって必ずしも悪いことを考えている時だけでなくて、好きな人を見て緊張したりドキドキしたりするときもありますよね。
守屋氏:ありますね。
安達解説委員:偉い人の前いくと緊張したりする。
寺門アナ:そうそう
守屋氏:まぁ、そういう場合はですね。恋愛感情だったりすると緊張はあっても攻撃性が無いじゃないですか。そこに攻撃性とかがプラスされてしまうとストーカーだったりする可能性がありますね。
安達解説委員:万引とかにも役立ちます?
守屋氏:役立ちます。実際に万引犯や盗撮犯が犯行を犯す前から検知したケースがございます。
寺門アナ:その映像を用意していますのでこちらをご覧ください。
こちらはある書店の防犯カメラの映像です。画面中央に本を選んでいる男が映っています。今見る限り特に不審な行動はとっていないんですが、ご覧のように赤い枠が出ました。これが不審者の警告です。
これを見まして警備員がマークしたところ、男は人気の少ない場所に向かいましてこのようにかばんを下して本をカバンの中に入れて盗んだんです。
この男は窃盗罪で逮捕されました。実は常習犯だったということなんですね。これもやはり攻撃性とか緊張から来る揺れを検知したということ…
守屋氏:そうですね。検知して解析してということですね。
松尾アナ:結構、顔がアップになっていなくても分かるんですね。
守屋氏:そうですね。顔とか体の震えも検知していますので。そいうところ見ています。
松尾アナ:そんなに鮮明な画像でもないんですが分かるんですね
守屋氏:そうですね。そういうシステムになっています。
寺門アナ:さらにこのシステムを使えば過去に録画した映像でも不審者を検知することができるんです。
例えば2013年のボストンマラソンでの爆破テロがありましたよね。この時の実行犯がテロを実行する前に会場を歩いている姿が映った映像をこのシステムで解析するとやはり赤い警告が出るということなんですね。
ですから録画したものをこういう形で役立てられるというのは、今後どういうふうに活用されるんですか。
守屋氏:そうですね。事後解析はですね。その他共犯者などを大勢の中から特定の人数を、可能性のある人数を絞り出すですとか、ということです。
寺門アナ:いま映っているのは(モニター)ボストンマラソンのテロの犯人の映像ですけれども
安達解説委員:素晴らしいシステムだと思う半面ね、監視社会になるんじゃないかな…
守屋氏:そうですね
安達解説委員:冤罪とか大丈夫なのかな
寺門アナ:冤罪とか確かに心配あると思うんですが、大丈夫なんですか
守屋氏:はい。冤罪はですね。可能性としては低い。というかほぼ無いですね。というのは不審者として事前に検知します。そうするとガードマンとか警備員が注視して見ていって、犯行に呼んだ時に確保するという形になりますんで、冤罪はほぼ無い。
寺門アナ:これで検知したから即、といわけではない。
守屋氏:あくまで注視して犯罪を未然に防ぐ
松尾アナ:安達さん、凄く進んだシステムだいう感じは非常にしたんですけど、技術はもちろんどんどん進んでいくんですけど、そうすると、それを活用する側の人間が、気持ちが追いついていかないといのも心配じゃないですか。 安達解説委員:そうですね。日々の生活もね。色々触れられたくないものってあるじゃないですか。それを日常ずーと監視されるようなものに使われると、大事な技術だという反面、使い方によっては凄く怖いなと思う。
松尾アナ:さっき監視社会という話もありましたけど、「えっ、そんなことまで我々求めてなかったのに」ということがもしかして起こるなら、それはあまりにも迂闊であると思うんです。利用する側が振り回されないように対策を改めて考えておくべきじゃないかと。
安達解説委員:政治の責任もものすごく大きいじゃないかという感じがしますね。管理する物の責任みたいに。
寺門アナ:今日はここまでセキュリティ革命の最前線についてお伝えしました。